国土交通省が行う空き家対策とは!金融・税制支援措置も解説
2023.12.28
国土交通省は、空き家対策に関する法律である空き家等対策の推進に関する特別措置法(以降、空き家特別措置法)を改正するなど、以前にも増して空き家対策を強化しています。
本記事では、法律の改正内容と主な支援措置について解説します。
空き家特別措置法の改正
国土交通省によると、次のとおり空き家はこの20年で1.9倍となり、今後も増加が見込まれています。
1998年(182万戸)
↓
2018年(349万戸)
↓
2030年見込み(470万戸)
空き家が増え続ける中、2023年6月14日空き家特別措置法が改正・公布されました。
施行期日は公布から6カ月以内で政令で定めるとされています。
これまでの法律では特定空き家になってからの対策に重点がおかれていましたが、法改正後は、特定空き家になってからの対応には限界があるとして、事前に空き家が管理が不全な状態において悪化を防止する内容となっています。
引用:国土交通省 空室等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律
改正法の主な内容
この章では、改正法の主なポイントについて、活用・悪化の防止・除却等の3段階に分けて解説します。
詳細は、国土交通省サイトに掲載されているので、資料に基づき概要の紹介となります。
1.活用拡大(活用)
活用拡大は、市区町村やNPOなどに関する内容です。
1.空き家等活用促進区域
市区町村は区域や活用指針等を定め、道路の幅員規制を緩和したり用途変更を柔軟化することで建替え等を促進します。
2.財産管理人による所有者不在の空き家の処分
市区町村は、裁判所に空き家を管理する財産管理人の選任を請求し、必要な修繕や処分を実施できます。従来は利害関係人のみが請求できました。
3.支援法人制度
市区町村長は、NPO法人や社団法人等を空き家等管理活用支援法人に指定できることになりました。
法人を活用することで、空き家対策を所有者等への普及啓発し、所有者との相談対応なども可能となります。
2.管理の確保(悪化の防止)
管理の確保は、空き家の悪化を防止するために、市区町村が管理不全空き家を把握する仕組みなどです。
1.特定空き家化を未然に防止する管理
このまま放置すれば特定空き家になるおそれのある空き家を管理不全空き家と定義し、管理指針に即した措置を市区町村長から指導・勧告できるようにします。
この勧告を受けた管理不全空き家は、固定資産税の住宅用地に関する特例が受けられなくなります(特例の内容は後述)。
2.所有者把握の円滑化
市区町村から電力会社等に、空き家に関する情報提供を要請できます。
3.特定空き家の除去(除却)
市区町村が特定空き家を除却を行う際に、国が行う支援などを定めています。
1.状態の把握
国は市区町村長に報告徴収権を与え、勧告等を円滑化します。
2.代執行の円滑化
緊急時に、命令等を不要とする代執行制度を創設しました。
所有者が不明な際に代執行や緊急代執行を行い、裁判を行うことなくかかった費用を徴収できます。
3.財産管理人による空き家の管理・処分
相続放棄された空き家等に対し、市区町村長が裁判所に対し財産管理人を選任請求する権利が認められました。
従来は利害関係人のみが請求できた権利です。
財産管理人は所有者に代わり、空き家等の財産を管理・処分できます。
主な財政、金融、税制による支援措置
特別措置法以外でも、財政や金融・税制に関する支援措置を設けているので紹介します。
空き家対策総合支援事業
空き家対策総合支援事業は、市区町村やNPO・民間事業者による空き家の活用や除却に対する取り組みを支援するものです。
なかでも、市区町村が代執行や緊急代執行等で除却を行う際、国が行う補助の割合が2/5から1/2に引上げられ、実行しやすい環境が整えられました。
また、空き家対策には、この他、社会資本整備総合交付金等の空き家再生等推進事業も活用されます。
空き家の取得や改修を対象とした住宅ローンの金利引下げ期間の延長
住宅金融支援機構と地方公共団体の連携による融資制度で、フラット35地域連携型の空き家の取得や改修を対象とした住宅ローンの金利引下げ期間が延長されます。
参考:住宅金融支援機構 【フラット35】地域連携型
相続した空き家の譲渡所得の3000万円特別控除
相続した空き家を一定の要件を満たして譲渡した場合、譲渡所得から 3,000万円を特別控除できる制度の期限が、令和9年末まで延長されます。
また、買主が売買契約に基づき譲渡後に耐震改修や除却した場合も、特別控除を適用できるよう制度が拡充されています。
管理不全空き家に対する固定資産税の住宅用地特例を解除
市区町村長から勧告を受けた管理不全空き家に対し、敷地の住宅用地特例が解除されます。
従来は勧告を受けた特定空き家の敷地のみでしたが、法改正後は、管理不全空き家も特例を受けられなくなります。
まとめ
国土交通省が空き家対策を強化しています。
空き家特別措置法を改正することで、特定空き家になる前の管理不全空き家に対策の重点が移っています。
さらに、空き家に対する財政や金融・税制に関する支援措置も拡充されているのが最近の特徴です。
空き家が気になる人は、国の動向にも注意しておきましょう。
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